賃上げ促進税制とは?
- furukawa61
- 2024年2月27日
- 読了時間: 5分
更新日:2024年4月24日
こんにちは!港区南青山で経理代行/記帳代行&会計・資金調達コンサルティングを行っているMeguro Accounting&Consultingの古川です。
今回は賃上げ促進税制についてお話していきます。
賃上げ促進税制とは、従業員の賃上げや人材育成への投資に積極的な企業が、税額控除を受けられる制度です!
給与の支給額が前年度より増加すれば、増加額の最大30%を税額控除できます。
教育訓練費の増加で上乗せできる要件もあり、控除できる税額は最大で40%になります。
それでは詳しくご説明していきます!
POINT 税額控除とは?
→「税額控除」とは、文字の通り「税額から直接差し引くことができるもの」をいいます。
「税額控除」と混同されやすいものに「所得控除」があります。
どちらも税金を安くするという意味では同じですが、節税効果の面で見ると、一般的に税額控除の方が所得控除よりも控除額は大きく節税効果が高くなります。
所得控除は税金がかかる前の所得金額を小さくするものなのに対し、税額控除は税額から直接差し引ける控除のため、税額控除の方が節税効果は大きいケースがほとんどです。
賃上げ促進税制の対象の判定
〈対象者〉
・資本金または出資金の金額が1億円以下
・資本または出資のない法人で、常時使用の従業員数が1,000人以下
→多くの中小企業が対象となります。ぜひ一度自社で使えるかご検討ください!
〈要件〉
雇用者への給与等支給額が、前年度と比べて「1.5%以上」増加している
例えば、今年度の給与支給総額が1,200万円で前年の給与支給総額が1,000万円だとします。
この場合給与増加額が200万円となるので、
200万円÷1,000万円=0.02(2%)
適用要件の1.5%以上の増加を満たしているので、要件を満たします。
適用対象となった企業は、給与支給増加額の15%が法人税から控除されます。
先ほどの例の場合は、200万円×15%=30万円を税額から差し引くことができます。
さらなる要件を満たせば、控除率はさらにアップ!
①雇用者への給与等支給額が、前年度と比べて「2.5%以上」増加している場合、
給与支給増加額の30%が法人税から控除されます。
②企業が従業員に対し行った教育訓練費が、前年度と比べて10%以上増加している場合、
さらに10%の控除が受けられます。
※教育訓練費:外部講師を招いた講習やセミナーの実施や、技術研修会の参加など、職務に必要な技術や知識を習得・向上させるための費用をいいます。
①と②をあわせて最大40%もの税額控除が受けれることになります!
新たに雇用者を雇い入れて総支給額が増えたとしてもOK
雇用者一人ひとりの給与を増やさなければならないわけではなく、新たに雇用者を雇い入れて総支給額を増やせば、要件を満たします。
賃金アップだけでなく、雇用促進に貢献することがこの制度の目的となっています。
注意点
①役員等への給与は対象外です。
国内雇用者に対する給与や賞与が対象となっています。役員報酬については対象外です。
②税額控除額の上限は、全体の法人税額(所得税額)の20%となります。
③赤字の企業では使えません。
賃上げ促進税制は税額控除です。
所得税や法人税額から差し引きます。そのため、黒字でないと使えません。
③給与の支給総額に含められないものがあります。
残業手当や休日出勤手当、家族・住宅手当等は給与の対象として含められますが、
雇用に関する助成金等を受け取った場合には差し引かなればいけません。
具体的には、雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、産業雇用安定助成金、労働移動支援助成金、キャリアアップ助成金、就職氷河期世代安定雇用実現コース、特定求職者雇用開発助成金や、出向者がいる場合の出向元法人から支払を受けている金額等が当てはまります。
利用方法
賃上げ促進税制を活用する際、特別な事前認定や届け出の必要はありません。
しかし、賃上げ促進税制の適用を受けるためには、法人税または所得税の申告時、
「税額控除の対象となる金額を記載した書類」や、「金額の計算に関する明細書」などの添付が必要です。
また、上乗せ要件の1つである「教育訓練費の増加」による税額控除措置を受けるためには、教育訓練の実施時期や実施内容・期間・受講者など必要な情報が記載された書類を作成しなければなりません。わからないことがありましたら当社にお問い合わせください。
まとめ
現行制度では、賃上げを行っても赤字の場合は、税額控除適用は受けられません。
そこで令和6年の税制改正では、繰越控除措置の創設が検討されています。
賃上げや、新たに従業員を雇用を雇用したいという経営者の方々はぜひ一度お問い合わせください。適用できるかの判定や、申告に必要な書類の準備などのサポートをさせて頂ければと思います!

監修
目黒 夕紀子
公認会計士/税理士
米国公認会計士(USCPA)を取得後, 中央青山監査法人(現PWC監査法人)にて国内外企業の監査業務に従事。その後大手外資系企業において財務・国内及び・国際税務&レポーティング業務等を経験。後に大手消費財企業においてファイナンスコントローラーとしてファイナンス&プラニング、内部監査統制プロジェクトを担当
リーマンショックを機に目黒会計事務所に入所し公認会計士の勉強をスタート
目黒会計事務所では監査業務/会計/財務/税務/相続業務等幅広い分野で国内の中小企業をサポート
2016年公認会計士試験に合格し 公認会計士及び税理士として登録
現在に至る
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